酪農家と農家の「耕畜連携」から生まれる、安心の牛乳づくり
豊かな自然と水に恵まれた濃尾平野の南端は、全国でも数少ない河川敷を利用した酪農地域。清流長良川そして揖斐川に囲まれ、昔から牧草が豊富なため酪農が盛んです。戦前から80年近くにわたり酪農を営む大井牧場では、かつて河川敷で牛を放牧していたこともありました。
国土の約3分の2が山地である日本は飼料自給率が低く、外国からの安価な輸入に頼る酪農家が多数を占めるなかで、大井牧場が扱う飼料はおよそ75%が国産です。「うちではなるべく自給飼料を与えているので、牛乳を安心して飲んで頂けます。」と語る大井さん。
大井牧場の自給飼料には、河川敷の14haの平らな牧草地で採れる牧草、WCS(稲を発酵させた牛の飼料)や飼料米があります。平野一帯に水田が広がるこの地域では、昔から酪農家と農家との協力体制のもとで「耕畜連携」に力を注いできました。稲作には牛糞を活用した堆肥が役立てられているほか、牧草を刈り取る機械を農作物の収穫にも共同で利用するなど、組合組織を作り大規模な耕畜連携が行われているのも特徴です。また大井牧場では周辺の畜産農家への稲わらの販売にも協力しています。
かつてサラリーマンをしていたという大井さんは、「サラリーマン時代と違い、基本的には牧場に定休日はありませんが、生き物相手の仕事はリアルタイムに反応があるのでやりがいがあります。自分でこうしたいと思ったことが仕事にできること、そしてそれが実現することが楽しい。若い従業員に囲まれて仕事ができることも良かったなぁと思います。」とのこと。
「酪農は人の命を支えて行く産業であることが気概になる。ここの牧場の牛乳を飲みたいと言ってもらえるのを目指している。」と語る大井さんは、若いスタッフとともに365日手塩にかけて牛をお世話し、周辺の農家とも協力し合ったこだわりの餌つくりに励む日々を送っています。安全でおいしい牛乳は、こうした生産者の汗と愛情の賜物です。